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原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用について

令和5年4月より、原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用が開始されました。

 

 拒絶査定に対して不服を申し立てる場合、拒絶査定不服審判請求時の補正の制限により、希望するよりも権利範囲を狭く限定せざるを得ない状況に陥ることがあります。また、拒絶査定不服審判請求時に、拒絶理由の対象とされていない請求項へと減縮補正して、取り急ぎこれらの請求項について早期権利化を図ることがあります。このような場合には、より広い権利範囲をカバーする発明や、限定要件が異なる発明について、拒絶査定不服審判請求時に分割出願をすることがあります。

 また、拒絶査定不服審判請求時に、保険として分割出願をしておき、審判の動向を踏まえて、分割出願の特許請求の範囲を再構築(補正)して権利化を目指すケースもあります。

 このような拒絶査定不服審判請求時に行った分割出願について、稀に、原出願の審判の結果が出るよりも前に分割出願の審査が開始されてしまい、分割出願の効果的な活用が難しくなることがありました。

 新たな運用では、分割出願のうち、原出願の拒絶査定後、拒絶査定不服審判請求にあわせて出願されたものについては、所定期間内(分割出願の審査請求日から起算して5開庁日以内)に申請をすることにより、原出願の前置審査又は審判の結果が判明するまで当該分割出願の審査を中止することができるようになりました。これにより、分割出願の効果的な活用が可能になるとされています。

 ちなみに、本運用は、分割出願について審査請求をすることが前提ですので、費用面ではそれほどメリットはないものと思われます。

 

 本運用が開始された後は、拒絶査定不服審判請求時に分割出願をした場合、分割出願の審査中止の申請は、原則、必須になるように思われます。例外として、例えば、前置審査の担当審査官と事前に協議(面談)するなどして、審判請求により原出願の早期権利化がほぼ確実な場合などは、この申請は不要かもしれません。

 なお、分割出願において審査中止の申請をした場合、その後、審査の中止期間の終了前に審査中止を解除して審査を再開させる申請はできません。

 

詳細は特許庁ホームページよりご確認ください。

(特許庁:https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/general/bunkatu-shutugan_chushi.html