特許の特異点

ラグビーに例えれば得点“トライ”(try at goal)をあげるために知っておきたいポイント3つ。

合格か零点か。神は細部に

「主要部」ではなくとも、「請求項に係る発明」に対して「細部」に係わると思う部分が発明の価値を深化させるポイント(テコでいえば支点)になり、発明の「本質的部分」のメカニズムを反映する根拠になることがある。細部といえども侮れない。細部の説明不足が、「発明開示不十分」として、特許を台無しにすることがある。

根っこを造り込む

枯れ木に見えた枝先に春になれば芽吹きをみ、葉が茂り花咲き、そして果実が結実する。それを可能にする「元」は地表から見えない、土中に深く張った木の「根っこ」。明細書も同様。出願日に、すでに「最初の明細書」※1に、はじめから、先々の機会利益やリスクを見越して、大樹に成長した時、樹が地中に深く根を張っているように、発明の木の根っこを土中にしっかりと造り込んでおく。過ぎた時間は巻き戻せない。何が、いかに「根っこ」なるかは、技術分野等によって異なる。

先願主義で金メダルを

他者との競争は努力をひきだす。早い者勝ちの世界、ナンバーワン以外は敗者。油断禁物。アスレチック競技でいえば金メダルの授与しかない。競争する他者がどの位置にいるか見えない。その中で、①価値を有し(創造性・非容易想到性)、②記載要件を満たし(開示十分)、③誰より迅速に手続する(先願)※2という、互いに逆相関関係にあるともいえる(右図の3つの座標軸上のベクトル量)を満たすこと。勝者はオンリーワン。引き分けはない。敗者は違う技術の開発などの方策を選ばざるを得ない。

  • ※1 最先の出願の願書に添付した明細書
  • ※2 ①~③は主たる特許要件である

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